『Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-』最終的な感想

『Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-』をやり尽くしての感想。

繰り返しプレイして味が沁みこんでくる
初回クリアの感想で「個人的にはゲームの雰囲気やシステムは好みだけど、ストーリーがイマイチ弱いかなという印象。悪くはないけど、さほど驚きもないところ」と書きましたが、自分で自分に納得できる。初回プレイで全てのエピソードを見るのは困難で、穴空きなうえに断片的なので繋がりもわかりにくい。おおよそ「こういう事があってこうなった」とか「不倫関係なんだなー」とかわかるわけですが、さほど感情移入も出来ないし、遠くから眺めている感じ。

作業的とはいえ5周も6周もすると全てのイベントを何回も見るので、個々のキャラクターの事情がはっきり見えてくる。こうなってくるとメインイベントの結末シーンが心に響く。何回も飽きるほど見た頃に心に沁み込んでくるというのは不思議な感覚でした。

最初から1つ1つのイベントをしっかり噛みしめて考察していれば2周目あたりで心に沁みるかもしれませんが。

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真実はひとつだけ
こういったストーリーや雰囲気メインのゲームは、あまり多くプレイしていませんが(こういうゲーム自体が多くはないですが)、ストーリーメインだと日本のゲームの多くは通常エンドと真エンドに分かれている作品が多いイメージ。そのイメージに染まっていたので、このゲームも真エンドみたいなものがあるのかぁと思っていました。でもそういうタイプのゲームじゃないみたいですね。

ストーリーやエンディングが分岐するわけではないが、上にも書いたように繰り返しプレイすると印象が変わってくる。良い意味での渋い作り。でも真エンドみたいに最後にドーンッと来るような物を期待してプレイすると大きな肩透かしとガッカリ感があるかもしれない。

わかりやすいゲームではないので、プレイヤーが自分で想像したり考察して楽しむ力が必要。ただ、そういう楽しみ方が出来る人であっても、もう少し明確さが欲しいと思うかもしれない。想像する面白さと相反するが、悪く言えば想像にゆだねすぎか。

声優がすごいと思った
私は声優にはこだわりがないです。しかし、このゲームでは声優の凄さを感じた。このゲームはキャラクターに明確なビジュアルがなく、うっすらとアウトラインは感じますが、全員ただの光です。もちろん顔はない。

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吹替音声と字幕のみでキャラクターを表現しているわけですが、吹替音声だけで顔や雰囲気が伝わってくる。意識しなくても脳内でその人物が見える感じ。特にウェンディーおばさんが印象的。この中に棒読みの人がいたら、その人がどんなイメージで浮かんだのか気になるところ。

音楽とグラフィックも良い
グラフィックは単に美しいというだけではなく、雰囲気というか空気感が好きです。美しい自然と町並みだけど、どこか奇妙で不安を感じる。何度も繰り返しプレイできたのは、このゲームの雰囲気の良さが大きかったと思う。ゴーストタウンってだけで不気味さは出るんですけどね。

声優の良さもあるし、音楽での盛り上げ方も上手。

大きなテレビと最高のサラウンド環境で遊びたいゲーム。

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移動速度が遅い
これは良くない。R2のダッシュもそんなに速いわけじゃないうえに効かない場所が多いし、正規の操作として認められないほど不安定だ。

しかし、一番大切なのはプレーヤーに周知徹底することなので、そうしている。我々としては時間を掛けてゆっくりとYaughtonを探索してもらいたいが、後戻りしたり、素早く移動したい時には、R2を押し込んで欲しい。
実は走れる『Everybody's Gone to the Rapture』「発売前に発表しなかったのは間違った判断だった - Choke Point

開発者はこう言っていますが、実際は技術的な問題なのかと思う。イベント絡みのスローはいいとしても、イベントがない場面でもスローになったりする。R2も効いたり効かなかったりで動作が不安定な印象。この不安定さは仕様というより欠陥と感じた。

任意セーブができない
これも良くない。オートセーブがメインイベントの終了時点のみで、任意セーブは不可。私はフリーズ1回、強制終了1回、オブジェクトハマリが1回ありましたが、この仕様には怒りを覚えるところ。このゲームにおいて、セーブできない緊張感を取り入れる意味もないと思う。

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酔いやすいようだ
Twitterの反応を見ると酔いやすいゲームのようだ。一人称視点のゲームで酔いやすい人には厳しいかもしれない。

実況プレイと照らし合わせるのが面白い
ブロードキャスト配信を見ると、自分では気づかなかった楽しみ方をしている人もおり、そういった楽しみ方を覚える事で遊べるゲームの幅が広がっていくと思う。実況スタイルのプレイだと、プレイヤーはなるべく喋ろうとするわけで、イベントの会話なんかも細かく拾って感想を述べたり考察する。そういうのを聞くと「なるほど」と興味深く思い、自分がプレイした時には特に何も感じなかったシーンにも重みを感じるようになる。

このゲームはわかりやすい感動や驚きを順番に与えてくれるわけではないので、断片的に与えられるエピソードを実況プレイヤーがどう処理するのかという部分が問われ、喋りの力の差が出るゲームなんじゃないかと思う。

視聴するなら、もちろん自分がプレイしてからの方が良い。自分の感じ方や考え方と照らし合わせるところに発見や面白さがある。

良かった
「どんなゲームなんだろ?」と、よくわからないから興味を持って買ってみたゲームでしたが、思いのほか大ハマリしてしまった。個性的なゲームで、わかりやすいエンターテイメントではないが、意外にも噛めば噛むほど味が出るゲームだった。噛めば噛むほど味が出るだけに、繰り返しプレイでは足の遅さが大きな障害でもある。

Twitterの反応を見ても好き嫌いが分かれている印象。どんなゲームでも好き嫌いに分かれるのは当たり前ですが、このゲームはその差がはっきりしやすいと思う。この点は1周目クリア時点での感想通りの結果。特に重要なのが2点。

・ストーリーと雰囲気メインのゲームである。
・ストーリーはプレイヤーの想像・考察能力が求められる。

なんだかんだゲームの居心地が良くて、攻略もやり尽くしたくなるほど楽しんだ。不満点も吹き飛ばす魅力があったと思います。