しみじみした『Firewatch』

f:id:Hamasukei:20180216151053j:plain

2018年2月7日にリリースされた『Firewatch』をクリアしました。

ベストナラティブ

体験する映画のようなゲーム。一昔前は「映画みたいなゲーム」というとムービー多めで進行するゲームのイメージですが、これはほぼプレイアブルで進行して客観的ではなく主観的な体験。ゲームならではの表現。

 

ウォーキングシミュレーターっぽさもあり、戦闘やパズルはなく、森を歩いて目的地を調べてゲームが進行するアドベンチャーゲーム。
地図とコンパスのシステムがハマっていて、大自然の中でウォークラリーをやっている面白さがあった。方向キー上で地図を見て、現在地と目的地を確認。方向キー下でコンパスを出して向かっている方角を確認しながら進んでいく。オープンワールド系のゲームはミニマップや目的地アイコンや方角が表示されていて便利なことが多いですが、このゲームは不便の押しつけというわけではなく、地図を見ながらのリアルな冒険の感覚が面白さに繋がっている。

f:id:Hamasukei:20180216140152j:plain

 

ウォーキングと調査以上にゲームの主軸となっているのが、別の区域の監視塔にいるデリラとの無線での会話。このゲームはヒューマンドラマでありサスペンスでもある。ゲーム開発者の投票によるGame Developers Choice Awardsではナラティブ賞(2016年)を受賞している本作、重い過去を抱えた主人公のヘンリーとデリラの無線での交流が最重要ポイント。だからこそ日本語対応が本当に有難い。

 

2016年11月に「ナラティブとは何か?」という記事を書きましたが、当時のイメージ通りでもあります。要約して「脚本 + ゲーム体験のさせ方」。

Narrative(ナラティブ)について考えました - PS4ちゃんねる Pro

体験する映画というのは安易な言い方ですが、心に染み入る脚本をゲーム体験として上手く落とし込んでいる。納得のナラティブ賞。

ストーリーに引き込まれた

プロローグとなる主人公の過去はシンプルなテキストで語られて、ゲームブックのような選択肢もある。いきなり「すごい……」と思ったのは、テキストのシンプルさと伝わりやすさ。あまり長文を読まない私にもスッと入ってきて、しかも内容が重くて悲しい。言葉を飾らず増やさず、短い文章で心を刺してくるし、わかりやすい。
ゲーム的な割り切りも上手くて、「ジュリアは行きたがっている」「あなたは絶対に引っ越したくない」とストレートな感情説明と、それに対する選択肢が用意されている。小説ではなく、ゲームブックとか紙1枚の台本っていう感じ。作り手側が見せたい恰好いい文章じゃなくて、体験したり演じるための物。

f:id:Hamasukei:20180216132447j:plain

 

主人公の背負っているものを自分のものとして抱えさせてくれてから、美しい大自然に放り込まれて本編スタート。

 

森林火災監視員として森を監視する仕事をすることになり、当然ながら事件が起こるわけですが、ミステリーというかサスペンスっぽい。ウィキペディアによると「サスペンスは、ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理、またそのような心理状態が続く様を描いた作品をいう」とのこと。その不安や緊張の与え方が上手くて、妄想?組織の陰謀?トゥルーマンショー?SF?などなど勝手に想像を膨らませてしまう。その状態からのオチも良かったと思う。逆に言うと勝手に想像を膨らませてしまう期間が盛り上がり的にはピークでもあるんですけど、私は好きなオチ。


サスペンスの中にヘンリーとデリラのヒューマンドラマもあって、とても魅力的なストーリー体験になっていた。心の揺さぶり方がいやらしいほどで、わかりやすいヒーローとヒロインではなく、しがらみとか、いい加減さとズルさとか、理想と現実の割り切り方とか、リアルで沁みた。偶然にも最近、2PACのLife Goes Onをリピート再生していたのですが、まさにLife Goes On(人生は続く)なストーリーでした。

4時間くらいで丁度良い

クリアまで4時間未満でしたので、最後までダレることなくプレイできた。ゲームにおいてボリュームの多い少ないはレビューでも語られる事が多いですが、個人的にこういうゲームの場合は長いとダメという考えもある。長いとダレるしブレる。このゲームのボリュームは丁度良かった。

リプレイ性もいらなくて、せっかくしみじみできた1回のプレイを記憶に残したいゲーム。

 

価格的にもPS Plus会員は30%OFFの1,386円でしたので不満はまったくない。

グラフィックは良いけどカクつきあり

グラフィックは実写系ではなく手書き風の味がある美しさ。けっこう重い処理をしているようで、動作がカクカクすることもしばしば。アクションゲームではないので、さほど不満には感じなかったですけど。

自分の感性でプレイしていたら……

ゲームの感想とはズレますが、このゲームを自分の感性だけでプレイしていたら、どんな感想になっていただろう?とも思う。Game Developers Choice Awardsでナラティブ賞(2016年)を受賞している最上級のナラティブという事を知ったうえでプレイしていましたので、それに権威も有難味も感じて「良い物」として1.5倍増しくらいで受け入れられたと思います。ゲームでいうバフ効果ですね。

 

ゲームにしろ映画にしろ娯楽品は「全力で楽しもう」という姿勢を重視する。評論家ではないのだから、楽しむためのものを楽しむために使いたい。良いところを強く享受し、悪いところはなるべく気にしない。それでも楽しめないことも多々ありますが、あくまでゲームは評論するための物じゃなくて楽しく遊ぶ物。とはいえ「自分は自分!」と強がったところで、なんだかんだ他者の影響は受ける。ゲームは発売日にプレイする事が多いので、他者の感想を見ずにプレイできている事が多いですが、今回のような既に評価が出ているゲームにおいては、おそらく影響を受けまくっている。今回はゲームを楽しませてくれる良い影響ですが、逆に悪い事だったとしても影響を受けるんだろうなぁと、なんだかしみじみ思いました。

最近では『真・三國無双8』も粗を感じまくりながらも熱中できましたが、先に悪い部分を聞かされまくってプレイしていたら、それを強く感じすぎて熱中できなかったのかなとも考える。

 

しみじみするゲームでしたので、終わった後もしみじみ考える。こんなにもしみじみできるのは、大自然の中で1人行動するゲームだからというのも理由かと思います。大自然の中で考えこんじゃう感覚も良かったということで、舞台設定も見事でした。いつか、VRでプレイしたいゲームでもある。

 

ゆるキャン△ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

ゆるキャン△ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)