オープンシナリオ・アドベンチャー『Detroit: Become Human』クリア後の感想

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2018年5月25日にリリースされた『Detroit: Become Human』。クリアしてトロフィー的には82%時点での感想。

一気に遊んじゃう

全体で見ると最後までプレイして10~12時間ですが、1つのエピソードが15分ほどで、目まぐるしい展開を見せてくれる。

 

1エピソードの中身がギュッと詰まっていて、AAA級らしいロケーションの豊富さもある。濃いけど15分で終われるので「もう1エピソード見たい」が続いて止め時がない。面白い海外ドラマを一気見してしまう時の感覚。心を揺さぶられる名シーンも多かった。

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AAA級Plus

スケールと作り込みの凄さは別格。15分の中のちょっとした1シーンのみで使われるロケーションも多い。インディーズ系のゲームは少ないアセットを工夫して使う事が多いですが、それとは真逆の贅沢過ぎる使い方。これにより2038年の未来を見て回る楽しさも大きな魅力になっている。細かいところを見始めたらキリがない。

1つのエピソード内の仕掛けも凝っていて、『ゴッド・オブ・ウォー』と同様に今までのAAA級を超えたAAA級Plusという印象。

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緊張感や気になる展開が続き、中だるみしなかった。テキストのバランスも良かったと思う。あまりダラダラと喋るようなこともなく、読みやすかった。

 

キャラクターの動きが速いわけではなく、むしろスロー。テキストはスキップできない。けど、15分にギュッと詰まったエピソードをサクサクとプレイできてテンポが良いと感じてしまう。

ただ、2周目となるとスキップできないのは面倒。わかりやすいフローチャートで周回プレイを推奨するようなゲームにも関わらず、フローチャート内チェックポイントの少なさや、1度見たムービーや会話をスキップできない仕様は良くない。

オープンシナリオ・アドベンチャー

ジャンルをオープンシナリオ・アドベンチャーとしている本作。Telltale Gamesの『ウォーキング・デッド』やDontnod Entertainmentの『ライフ イズ ストレンジ』みたいなゲームです。

 

映画や海外ドラマのようなストーリーをベースにしていますが、視聴するだけではなくプレイヤーに重要な選択が委ねられる。プレイヤーの選択によって、ストーリー展開が変化する。

 

人が死んだり、役割を代わったり、ルートが分かれたりはありますが、大筋のストーリーからは逸れない範囲での変化。『Detroit: Become Human』はスケールが大きく、フローチャートを見ても細かい分岐や各エピソードの結末が多い。従来のゲームよりは展開の幅が大きいですが、それでも革新的なほどではないです。

それでも終盤はルートの分かれ方が面白い。序盤から派手なルート分岐があると収拾がつかなくなるという問題がありますが、オチへと向かう終盤なら作り手側の選択肢も増やしやすい。初回クリアとは別ルートでやってみたら、序盤で会ったキャラクターと再会できたり、驚きの展開が見られた。コンプリートするほどではないのなら、終盤のチャプターからルート分岐を楽しむのが良いと思う。

 

『ウォーキング・デッド』をプレイした時に「映画的ですが『これぞゲーム』という魅力が感じられた。自分で選択できるからこその没入感。没入し過ぎて2周目をやりたくない気持ちにもなります。オンリーワンの物語という重みがありすぎて、作業的な分岐確認をしたくなくなる。やり直して1つの物語が薄まるのがもったいないという気持ち」と書きましたが、これは『Detroit: Become Human』でも同様に感じました。

映画的ですが「これぞゲーム」

『ウォーキング・デッド』の時の感想ですが、映画的なゲームだけど「これぞゲーム」というもの。映画のようなゲームとか、プレイする映画と言うと「映画」という言葉に引っ張られて「映画でいいじゃん」「動画で見ればいいじゃん」という誤解があるかもしれない。最重要なのは自分で選択して演じてプレイすることなので、客席から映画を見るのとは楽しみ方が違うもの。

 

ストーリー自体が悪くはないので客観的に見ても楽しめるとは思いますが、ロボットが感情を持って人間と敵対したり対話を求めるようなストーリーは珍しくないと思いますし、そこに家族や命や差別を絡めることも普通に思いつく範囲。『Detroit: Become Human』において「狙いすぎ」な展開もいくつかある。そういうのは客観的に見たら冷めるんじゃないかと思うところもある。でも自分がコントローラーを持って参加していると、葛藤したり心が揺さぶれる。バカ騒ぎしている人たちを遠くから冷めた目で見ていたのに、いざ自分が参加すると楽しく騒げちゃうような。

映画的なゲームだけど、映画向きのストーリーとゲーム向きのストーリーの違いを感じた。このゲームはゲーム向きのストーリーとして、よくできている。例えば批評する前提でプレイして、客観的に映画的目線でストーリーを分析すると、ちょっとズレてしまうかなと思う。プレイヤーに葛藤させたり、選択させる面白さと結果のわかりやすさが練られている。ゲーム的な事を考えると、わかりやすさが必要なので、映画的目線で見ると物事が単純に描かれすぎと感じるのではないでしょうか。

フローチャート

フローチャートは良いところも悪いところもある。ゲームとして客観的に見れば便利だし、攻略もしやすい。反面、ゲームっぽすぎるところが見え過ぎて、ストーリーへの没入感を少し削ぐ。展開が見え過ぎると最初から1つ1つの展開が薄いパラレルワールドのように感じてしまうので、せめて1周目は見せなくても良かったんじゃないかと思いました。チャプターごとに1周目の「全世界の選択」を見る面白さはあるが、個人的にはマイナスの方が大きく感じた。

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3人とも良かった

コナー、マーカス、カーラという3人の主人公が絡む群像劇。3人とも興味を持てて好きになれるキャラクターでした。

QTE

このゲームは「EXPERIENCED」と「CASUAL」という難易度があります。このセンスは良いです。「NORMAL」と「EASY」じゃないんですよね。私は「EXPERIENCED」でプレイし、難易度的には完全に「NORMAL」なのですが、高難易度をクリアした気分にさせてくれます。逆に「CASUAL」を選ぶ人も「NORMAL」と「EASY」なら「EASY」を選択するのは少しだけ気が引けやすい。ただ、もう1つの選択肢が「EXPERIENCED」となると気持ちが違う。

 

「EXPERIENCED」のQTEアクションの難易度はホントに「NORMAL」と言った感じで、さほど難しくはなく、かといって余裕でもなく、あまり失敗しないけど、けっこうギリギリに押せている緊張感がある。シビアすぎずヌルすぎずのベストなバランス。この調整は流石。戦闘時など、1回のQTEアクションで10回以上のボタン入力がありますが、数回失敗しても問題ないです。QTEのせいでゲームが上手く進められないという事はなかった。アクションゲームとしての成功or失敗というチャレンジではなく、ゲーム内のキャラクターとプレイヤーのアクションをシンクロさせるための演出という感じ。そこが上手い。

 

しかし、コントローラーを振るような操作は個人的に好きではなかった。ボタンと違って、はっきりした手応えがなくて入力の気持ち良さが弱いし、やっているつもりなのに失敗した時の不満はある。

 

全体で見ればQTEは悪くなかった。「EXPERIENCED」でこの難易度なら「CASUAL」は、かなりプレイしやすいと思います。トロフィーやアンロック条件にも関係ないようですし、QTEが好きでないなら気兼ねなく「CASUAL」を選べます。

 

QTEはゲームにおける嫌われものでもありますが、ここまでQTEを入れてもTwitterの反応でQTEに関する不満がほぼないあたり、入れ方が上手いのだと感じる。

Detroit lang:ja - Twitter Search

大満足

トロフィー的には82%までプレイしましたが、とても満足できる内容。ストーリーの全体像やオチがどうこうよりも、初回プレイでの1エピソードごとの選択や緊張感が素晴らしかった。この素晴らしい15分の集合体は、今のところ唯一無二かもしれない。食べやすく中毒性があり止め時がない最大のポイント。となると映画ではなく海外ドラマ寄りで、1エピソードごとの魅力があり、続きも気になる。

 

アドベンチャーゲームの究極と言えるようなゲームで、このジャンルをここまでのクオリティで作れるところは他にないんじゃないかと思う。そのため、レビューで点数をつけるとなるとM1グランプリでいう1組目に点数をつける難しさがありそう。わかりやすい基準がないんですよね。このジャンルでいろいろ出てみれば「あれは凄かったんだ」とわかるでしょうけど。

 

贅沢な内容で7,452円は得した気分。Quantic Dreamが次にどんなゲームを作りかも早くも気になっています。