『METRO EXODUS(メトロ エクソダス)』の感想


2019年2月15日にリリースされた『METRO EXODUS(メトロ エクソダス)』の感想。

オープンワールド風

オープンワールド化とも言われる今作ですが、基本的にはステージクリア形式で、1ステージ=1エリアになっている。その範囲の中で小規模なオープンワールド風のシステム。ステージをクリアすると次のエリアに行き、前のエリアには戻れない。自由に世界を移動できるオープンワールドとは違います。ステージによってはオープンワールド風ですらなく、すぐ終わるようなところもあります。


面白いバランスだと思う。ストーリーも大きな魅力なので、ストーリーから外れすぎない程度にオープンワールド風の探索も楽しめる。寄り道しすぎてストーリーが進まないというほどではない。完全なオープンワールドでないことをガッカリするどころか逆で、良い導入の仕方。

手探りの探索が楽しい

ポストアポカリプスFPSという事で、核戦争後の雰囲気がとても良かった。各エリア毎にまったく違う個性もある。『メトロ』シリーズは雪と地下のイメージが強いですが、本作はロケーションの多彩と豪華さを感じます。

 

ファストトラベルはなく、マップにマーカーをつける事もできない。地名も表示されず、簡易的な印のみ。ミニマップもなく、ゲーム的な表示をしないHUDのこだわり。この不便さが探索を面白くした。アイコンやミニマップを追うだけじゃない、自分で歩いて、見て、名もなき場所に入るという手探りの探索ができた。こういう手法って、リアルを求めて面倒くさくなるだけにもなりやすいですが、私は手探りの探索の面白さに魅力を感じた。


あまり良いアイテムが手に入るわけでもなく、基本は汎用的な素材。たまに武器パーツや高機能マスクなどを得られるとラッキーというところ。私はゲームで探索するとなるとアイテムが欲しくなっちゃうのですが、このゲームは雰囲気が良くて、見て回ることの面白さが大きかった。良い廃墟がいっぱいありました。


逆に言うと、サブクエストやアイテム集めの要素は薄い。例えばフォールアウト4のように、探索すればするほど新たなサブクエストが発生するというような事はない。地味に探索して歩き、地味なアイテムが得られる。サブクエスト消化やアイテム集めのための探索ではない。

超人ではない主人公

FPSとしては少しモッサリしている。
まずレティクルの操作がしっくりこなかった。感度最大にしてギリギリ許容範囲ですが、それでも上下のレティクル操作がまだ重いですし、FPSとしては不満を感じる操作感。

 

移動速度も少し遅めですので、スポーティーに走り回りながら敵をバンバンというのも難しい。耐久度も低めで死にやすいですし、ちょっと高いところから落ちると死んだり、水溜まりで死んだり、わりとひ弱で普通の人間らしいアルチョム。


銃撃だけのゲームではなく、ステルスが重要なゲームですので、あえて快適な動きと操作性にしていないのだとも思う。『バイオハザード RE:2』ほどとは言わないですが、一般的なFPSよりは重め。銃撃も重要な要素であり、強制戦闘の場面もありますが、銃撃のゲームとして期待してしまうと肩透かしではあると思う。


意図的かどうかはわかりませんが、レティクルの操作性はアップデートで改善してほしい。『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』と『ファークライ3』で初期バーションのレティクル操作に大きな問題がありましたので、有名ゲームでもあっても基本操作の調整が雑なままリリースされる可能性はある。

ステルス

主人公が超人じゃないのでステルスが大事です。いきなり戦闘を始めてしまうとワラワラと敵が集まってきて死ねる。低難易度なら銃撃ゲームとしても遊べるでしょうけど、通常難易度以上では、銃撃戦だけで進めるのは非常に難しい。


ステルスでは暗闇を移動するのが基本であり、近くの灯りを消すのも重要。暗闇と物陰を駆使して、敵の背後を取る。ストロングスタイルと言いますか、特殊能力無しのステルス。壁を透かして見えるとか、そういうのはない。自分の目と耳と勘が頼り。物を投げて敵の気を引くという定番のシステムはあります。暗闇が重要なので、夜の方が有利。
悪党の拠点に侵入し、1人ずつステルスで消していくのは楽しい。

 

ミュータントは倒しても何も得られないし、弾に余裕があるわけではないので、なるべくなら避けたい。このミュータントからのアイテムは無しという設定も面白く機能していると思った。素材が剥げたりすれば、それ目当てで戦うだけのゲームにもなる。

敵AIはイマイチ

敵のAIにやや問題があり、戦闘中に棒立ちしていたり、あまり人間らしく動けていないので少し古いゲームのAIという印象。アホなAIのおかげで少し楽にプレイできるというところはある。
バグもあり、敵が空中を滑ったりした。海外レビューでも技術的な問題はマイナス点として挙げられていました。敵AIに限らず、バグは問題。せっかくの良い雰囲気を削ぐ要素にもなる。

強化システム

素材を集めるシステムですが、シンプルすぎるほどシンプルです。素材は化学薬品と金属部品の2種類のみ。
素材が2種類なのは良いと思った。わかりやすいのも魅力ですが、特定の素材を集めるために特定の場所を漁りに行くような事をしなくてもいい。自由に好きな場所を探索でき、常に重要である2種類の素材を得られる。


クラフトできる消費アイテムは、治療キット、ガスマスク用フィルター、弾薬、投げナイフ、デコイ、ハンドグレネード、火炎瓶。
無駄弾を撃ちすぎると弾不足に陥るゲームですので、弾薬のクラフトは重要。主人公の耐久度も低めなので治療キットも。

 

落ちている武器や敵が落とす武器に武器パーツがついている事があり、それで武器の強化ができる。基本となるのはグリップ、バレル、サイト、マガジン、ガジェットの5項目で、加圧武器に関しては加圧システムも改造できる。

 

ヘルメット(ガスマスク)、ベスト、ブレーサーも高機能な物を入手できます。種類は少ない。

 

経験値やレベルのシステムはありません。強化と収集のシステムはシンプルであり、そういう意味でのRPGっぽさは薄めなので、ポストアポカリプスということで『フォールアウト4』っぽいゲームという印象があっても、この点はまったく違う。
メインストーリーとしては生き残りをかけた旅でありサバイバルであり、アルチョム個人の弾薬管理や治療キットやフィルターの管理も生き抜くために重要で、こっちの意味でのサバイバル感は過去作より増していると思う。戦闘以外における部分で、ゲームシステムとしてイメージするサバイバル要素や生活感は薄めで、水と食料などのシステムや拠点強化システムは無いです。

 

ミュータントを倒しても報酬無しだったりする事も含めて、全体的に「報酬でプレイヤーを動かす」という事を減らしている気がする。
最近、Twitterでバズっていた話。壁の落書きをする子供に対して、落書きをしたらお小遣いをあげるようにして、一定期間が過ぎた後にお小遣いシステムをやめたら壁の落書きをしなくなったという。子供たちが壁の落書きをお小遣いをもらうための仕事だと認識するようになると、報酬なしではそれをやらなくなるという話。
ゲームではプレイヤーを動かすために報酬を与えるのは一般的ですが、それにより報酬のための作業になっているところもある。報酬のために面白くない作業をするのも珍しくなくて本末転倒っぽくもなる。ROR2の感想でも少し書きましたが。
このゲームはゲーム内報酬をあまり意識せずに遊べたという印象があります。

センスの良い絵作り

グラフィックは良いですが、最近のグラフィックレベルは高いので、もうAAA級の中では普通レベルなのかもしれない。細かく見ると粗いところもあるのですが、全体の調和が取れていて、フォトリアル過ぎない独自のタッチも感じ、好きなグラフィックです。

ぎこちない長押し操作

扉を開けたりハシゴを上ったりオブジェクトを調べる時にボタン長押し。ボタン長押しを待ってからモーション待ちで、ちょっとテンポが悪い。 
『メトロ リダックス』をプレイし直してみると、単押しでロッカーが開けられたり日記が拾えるだけで、かなり快適に感じる。

 

単押しと長押しの混在もぎこちなく感じる。慣れれば対応できますが、オプションで設定を変えさせてほしいところ。

ロードが長め

ロードがかなり長いです。これが苦になるのは死んだ時のリトライ。けっこう死にまくるゲームですので、リトライ待ちを繰り返すのはストレスになると思います。

良い余韻を残したストーリー

ストーリーも楽しめたし、露骨な「続く」とか未完系の作品じゃないので、クリア後の余韻も良かった。導入部の引き込みの強さから、旅の苦難と面白さ、別れや新たな仲間との出会い、終末らしいカルト教や狂った人々、そして納得のいくピリオド。シングルキャンペーンFPSとして満足いくものでした。15~20時間ほどのボリュームも丁度良い。

 

キャラクターの会話パターンが多くて、カットできないので全部聞くとなるとかなり時間がかかる。会話パターンの多さがキャラクターとストーリーの深みにも繋がっていますが、早く冒険したい気持ちからするとジレンマ。
テキスト読みだと待ち時間の長さを感じやすいですので、音声までフルローカライズは非常に有難い。

 

ストーリーの見せ方で良かったのは、敵を出し過ぎないところ。こういうアクションゲームですと、定期的に敵を出現させて倒しながら進むのが普通。このゲームもそういうところはありますが、敵が出ない「静」の時間をたっぷり使っているところも多い。特に演出が重要になる後半は。不気味な雰囲気がとても良いので、ただ静かに歩くだけのほうが沁みるところもある。

 

ファーストインプレションは、動きの重さや操作性の悪さやわかりにくさが気になって、あまり面白くなかった。『ファークライ ニュードーン』を買う事も頭をよぎった。それらに慣れていくうちにグングン面白くなった感じ。


評価が伸び悩んでいるという事実もあり、メタスコア79点(31件)、ユーザースコア6.0点(238件)。私は進行不能になるバグには当たらなかったですが、そういう状態でオートセーブされたら低評価もやむなし。死にやすいのにリトライが超長いのもストレス。メインストーリーを重視していて雰囲気がとても良い反面、オープンワールド系のゲームとしてはクエストや強化要素が薄味でもある。めちゃくちゃ良いところもあり、古くてチープなところもあり、80点前後の評価に落ちつくのは納得できる。
技術的問題による減点が大きいので、アップデートでグーンと良くなる可能性もあります。気になっている人はアップデートの動向をチェックしたほうが良いです。初期の評価と大きく変わる可能性もある。

 

個人的には、このゲームの個性を受け入れて楽しめた。「らしさ」を持っているゲームですが、そのために好みが分かれやすくもある。

 

【PS4】メトロ エクソダス 【CEROレーティング「Z」】

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