VRノベルゲーム『マヨナカ・ガラン』をクリア


2018年10月4日にリリースされた『マヨナカ・ガラン』。VRのノベルゲームです。

基本システム

インタラクティブシネマに近いゲームです。プレイヤーが迷ったり詰まったりする部分は一切なく、物語をVRで体験するもの。ゲーム内での操作は下記3点のみ。

  • テキストを読む(フルボイスなので聞く)
  • イベントポインターを見る
  • 行先を選択する

「行先を選択する」は、複数の行先があっても一通りイベントを見ることになりますので、進行先に迷ったり、何もイベントがない場所に行くことはありません。
プラチナトロフィーはありませんが、クリアするだけでトロフィーコンプリートでした。特別な寄り道要素はないのかと思います。

 

VRでプレイする場合、最初にCONFIGをいじっておくと良いです。
TEXTはAUTOがオススメ。いちいちボタンを押さなくてもテキストが進みますので、あまりコントローラーに触れないでプレイできる。

 

フルボイスなので字幕を消したいのですが、その設定はない。R1ボタンを押している間は字幕が消えますが、押しっぱなしにしておく必要がある。常時消せる設定があれば、もっと没入感が増すんじゃないかなと思いました。R1押しっぱなしで字幕がない状態のプレイのほうが好きです。

VRでCGの舞台か人形劇に参加しているような

クリアまで3時間~3時間30分。満足度の高い体験となりました。VRで舞台に参加しているような感じで、自分1人だけのために舞台が演じられる贅沢さもあり、舞台のようだけどVRでしかできない演出もありました。こういう仕掛けに驚けるのはVRの大きな喜び。

 

オープニングから「これはちょっと良さそうだ」という印象を受けていました。オープニングや章の繋ぎ目だけは客席視点になり、スクリーンの映像だけじゃなく様々な演出で観客を楽しませてくれる。「これから面白い舞台が始まるよー」というのが伝わり、客席でワクワクできるような。

 

ストーリーは驚きがあったりゾクッとしたり悲しさがあったり、最後まで楽しめました。

 

あらすじは、

過去に迫害されたキリシタンたちが作った大臼村が村おこしをすることになり、郷土史家の牧師である橘はももる(主人公)が村に呼ばれた。プレイヤーはその案内人であり、つまり村人の1人。村おこしのためのガイドブックを作成すために、村人から伝承の話を聞くところから始めますが、その中でこの村のもう1つの顔を知る……。

 

1章は伝承を聞いたり村のほのぼのとした様子を見たりするだけなので、やや退屈です。しかし!この平凡すぎる1章に布石が打たれまくっていて、断片が繋がる感じや、村と登場人物の過去、そしてプレイヤーである案内人の正体などなど、いろいろ明らかになっていく過程に驚けた。やはりノベルゲームはこういう驚きが醍醐味だと思う。


道中の驚きやゾクゾクに比べてオチが弱いかな……と思っていたところで、VRならではの見せ方があり、その力で強い体験として持っていかれた。「VRならでは」と書いていますが、実際は非VRでもプレイできるので同じ演出なのですが、VR=自分自身の目で見る風景に意味がある。あの風景は響きました。
とはいえ、別のエンディングがあってほしいとも思った。もしかしたらあるのかな?1周しただけなのでわかりませんが。

 

VRの良さとして、視界が完全にゲーム世界だけになるということもあります。テレビや自分の部屋やコントローラーは見えない。あるのはゲームの世界だけ。これだけでも非常に大きな没入感を生む。この力が物語をより沁み込ませる。客観的じゃなくて舞台に参加して主観的に見られる。

 

グラフィックは、これも舞台のように必要なオブジェクトだけを配置している感じ。簡略化されていて、記号的な背景でもある。低予算だから細部まで精細に描けない事情もあるのでしょうけど、上手いやり方だと思いました。全体的に統一されたスタイルで中途半端になっておらず、こういうアートとして受け入れやすい。ショボい、じゃなくて独特な味があると思わせる。


Storeでの画像を見た時は、正直「ショボそう」と思いました。実際、モデリングやモーションなんかは今の時代なら素人でもソフトの力で作れそうなレベルだと思ってしまいそう。これも記号的で人形劇に近いのかなとも思う。昔のJRPGのイベントシーンを3D化したみたいな。でもVRの世界に入って立体的に存在する姿を見ると、やっぱり特別感がある。こういうのもVRの力。ポイントを突いた表情の演技もありますし、そして声優の演技でも命を吹き込んでいる。
高精細ではないですが、AAは上手く機能しており、チラつきは少なく線がシャープで見やすいです。


キャラクターに命が吹き込まれる点で驚いたのは村人たち。外見はほとんど一緒に見えて最初は区別がつかないのですが、何回も話しているうちにしっかり個性が見えてくる。外見がここまで似ていても、ちゃんと別人だと認識できてくる。“ノベルゲーム”の名の通り、小説のようでもある。絵は無くてもキャラクターをイメージできるという。

VRはアップデート対応だったらしい

1,200円は安すぎると思えるVR体験をさせてくれた本作ですが、リリース時はVRに対応していなかったみたいです。メーカーサイトに「PSVRについては後日のアップデートにて対応予定です」と書いてありました。言うまでもないですが、現在は対応しています。

 

VR専用ではなくVR対応なので、そこまでVRに特化した演出というわけではないのですが、ノベルゲームをVR化して、その世界に没入出来て、より面白い体験になるというのを感じました。

 

ソフト自体が低価格ですし、開発スタジオも大きくないでしょう。A級のスケールではないですが、小規模なタイトルとして工夫をこらして上手くまとめている面白い存在。ノベルゲームの軸となるストーリー展開の面白さも十分でした。
今後もこのジャンルに期待したい。