『Days Gone』の感想


2019年4月26日にリリースされた『Days Gone』をクリアしました。

AAA級のストーリー

一番良かったのはストーリー。Bend Studioは前世代で据置機での開発実績がなく、PS4で大作が作られるの不安でしたが、ストーリーはAAA級のボリューム、演出、ドラマでした。人間ドラマの見せ方に凝っていました。会話選択肢がないので主観的じゃなくて客観的にドラマを見る感じになります。

 

映画というよりは長編の海外ドラマで、シーズン1が北部編、シーズン2が南部編、シーズン3がファイナルという具合。

 

前半のメインはオープニングで負傷したサラの行方を調査するディーコン。サラは死んだんだと自分に言い聞かせながらも生きているという期待を抑えられない。調査する中でNEROの関係者とも接触し、フリーカーの生態やこうなった原因などの断片が見えてくる。

相棒のブーザーとの関係の描き方も良かった。どちらも真人間ではないけれど、不器用ながらも深い友情や信頼が感じられる関係。ジョークを笑いながらホロッと泣けるようなシーンが良い。
脇役も含めて未熟さとか無責任さも感じられて汚い部分もあり、生々しい人間なのが良かった。壊れた世界を生きる人間としてリアリティがありました。キャラクターの演技も一流ですし、細かい演出も作り込まれている。『レッド・デッド・リデンプション2』を彷彿とさせる。

 

前半のクライマックスで「もうクリアかな?」とも思ったけど、そこから壮大な後半へ。切り替わり方も海外ドラマのシーズン2って感じでした。いきなり盛り上がる展開を見せて、このゲームの世界にどっぷりハマった。新たなキャラクターとの出会いも良くて、人間ドラマに浸れる。生きた人間との交流として感じられるくらいキャラクターをしっかり描けている。

 

キャンプとの信頼度で変化するとは思いますが、ラストも熱くて良かったです。クリア後の余韻も良くて、気持ち良く終われた大長編ゲーム。そして、クリア後の追加ストーリーでは大きな衝撃もあった。最後の最後まで驚かせて楽しませてくれた。風呂敷を畳むどころか広げようとしているところもあり、続編も匂わせる。しかし、続編が出せるかは微妙ですね。

複数のメインストーリーが同時進行

このゲームの特徴として、複数のメインストーリーが同時進行するというのがあります。これが素晴らしくて、ストーリーと人間ドラマが奥深く面白くなった要因。このメインストーリーを同時進行させる手法は、今後のオープンワールドゲームで主流になってほしい。

前半60点台→後半80点台

オープンワールドのゲームとしてシステムは平凡と言える。ミッションアイコンからストーリーを進めて、たまに野盗襲撃や人質救出などのランダムミッションがある。マップ密度は薄めです。そしてオープンワールドゲームにありがちな「同じようなことの繰り返し」感もある。どこかで見たようなシステムをいろいろ入れている70点台のオープンワールドゲームという印象ですし、メタスコア72点(87件)も納得できる。

 

70点台のオープンワールドゲームと言っても前半60点台→後半80点台という感じ。後半は楽しくてハマった。前半がイマイチな理由は、初期性能を低く設定しすぎなのと、とっつきの悪さだと思う。ディーコンはスキル不足ですし、バイクは性能不足。スキルが揃ってバイクを強化すると面白くなる。
難易度はEASYとNORMALを自由に切り替えられてデメリットも無しで新設設計ですが、とっつきやすいゲームではないです。ステルスで見やすい気配ゲージは出ませんし、銃で狙う時はL2を少し長押しして照準を絞る仕様。野盗のアジトを攻略する機会は多々ありますが、双眼鏡を持っていても全体を見渡せるような高台はほぼない。ファストトラベルもバイクが近くにあることが条件でガソリンも消費する。お金は各キャンプごとに別管理なので、最初のキャンプで稼いでも次のキャンプでは使えない。意図的に制限を入れているようですが、制限が楽しさに繋がっていない部分も感じる。

 

特徴は「大群」と呼ばれるフリーカーの群れ。最初にこれと遭遇した時の驚き、初めて戦う時の緊張感からの高揚感は唯一無二……ではなくて少し前に出た『World War Z』に近い。でもゲームとしては別物で、こちらは大群をスルーすることも大事ですし、倒す時は地形や爆発物を駆使する戦略性がある。
トレーラーでアピールしていたのでゲームの軸にあるかと思いきや、大群との戦闘は終盤になる。序盤でも攻撃を仕掛ければ戦えますけど、現実的にはスルー推奨。終盤になると大群の位置が地図に表示されるので、そのタイミングで狩り始めたほうが良いかと思います。
大群を野盗のアジトに絡ませて敵を倒したりもできる。


戦闘は近接攻撃と銃撃とアイテムのバランスが良くて、どれも重要。敵が少ない時はステルスも有効。戦闘面のバランス調整は優れている。

序盤のバイクの燃費が悪すぎる

バイクの燃費の悪さは大失敗だと思った。すぐガソリンが切れるから、なるべく寄り道はしないようになるし、序盤は移動と探索が面白くない。バイクでの旅も楽しい要素になるかと思いきや、バイクが足枷状態で移動の幅を狭める。ガソリンの有難味を感じられたり、下り坂ではアクセルを離して燃料を消費しないテクニックもあったりしますが、こういう要素が押しつけになっていて面倒に思うようになり、マイナス面のほうが大きい。ストーリーミッションではガソリン無限になっていたり、アジトなどにはガソリンが落ちているし、ミッションを進める分には困らないように配慮はあります。しかし、目的地に行って補給、帰って補給という頻度がゲームとして楽しく機能しているかという部分で序盤の調整は良くないと思った。そこまで燃料補給を軸にしてゲームしたいほどバイクが好きではない状態でしたし。
序盤のバランスが悪いだけでシステムとしては面白く、アップグレードして燃費を一番良くするとバイクでの旅が楽しくなった。序盤に感じていた制限から解放されるのも良くて世界が広がる。行き先を決めずに自由にバイクで走り回っても良い。こういう変化を楽しめるという意味では、序盤の制限も意味があります。設定的には最終形態がデフォルトでも良いくらいです。いろいろ見て回って「そろそろガソリンが減ってきたかな」というところで給油。移動の幅を狭めないし、ガソリンの有難味もある。これくらいの調整なら楽しいし、給油の感覚(間隔)も本物っぽくて面白く感じる。そもそもリアリティという意味でも最終形態の方がリアルに近いと思うし、リアルのバイクはもっと燃費が良いと思うので、そこからアップグレードしていければ良かった。

 

これはアップデートで調整したほうが良いと思う。燃費が良くなってからのバイクの旅は面白いし良い設定なのだから、それを序盤で出し惜しみする必要もない。バイクが重要なゲームなのに、序盤でバイクが嫌いになる人が増えそうな設定。操作性も最初は酷くて「マジか?」と思ったけど、これも良くなる。最初はバイクの印象が悪いけど、中盤からはバイクが大好きになりました。もっとバイクのミッションを増やしてほしいほど。オープンワールドゲームのレースって、あまり楽しい思い出がないですけど、このゲームでバイクをカッ飛ばしていると「レースもしてぇなぁ」と思っちゃうくらい魅力ある。

倉庫が欲しかった

収集とクラフトに関しては『The Last of Us』や『Horizon Zero Dawn』の影響を受けていると思いました。素材を拾って包帯や火炎瓶や矢を作ったり、近接武器の耐久値を回復する。基本システムとしては良いですし、フリーカーの大群を相手にするようになると爆発物は重要になるので機能している。

 

倉庫のようなものが欲しかったです。所持できる量が多くないので「〇〇これ以上持てない」をクリアまでに300回以上は見たと思います。このためアイテムを漁る面白さが減ってしまっている。制限があるから手持ちの素材でやりくりするサバイバル感もありますが、でもそれよりも備蓄できるシステムのほうが良かった。メインストーリーをほっぽらかして素材集めの旅もしてみたかった。
要はプレイヤーが選択できるかどうかの話ですね。手持ちと現地調達でサバイバル感を楽しむのか、素材集めの旅で備蓄して安心したいのか、その選択の自由度があれば良かった。

自由度は低め

最終的な全体マップは広いですが、ストーリーに沿って移動できるエリアが広がっていくタイプ。ストーリーミッション以外はやれる事も少なく、バイクの燃費の問題もあり、ストーリーミッションを進めるプレイになりやすいと思います。ただ、このゲームはストーリーと人間ドラマが面白いので、好都合っちゃあ好都合でした。

 

キャンプにフリーカーの耳や植物や肉を売って金を稼ぎ、キャンプの信頼度を高めるシステムがありますが、これはあまり機能していない。報酬が低すぎて、普通にストーリーミッションを進めた方が金も信頼も稼げる。
信頼度を高めないと良い武器やパーツが買えないのですが、信頼度を高めるためにストーリーミッションを進める必要があります。寄り道して強化してからストーリーミッションを進めるというプレイはやりにくい。

 

雰囲気は最高に好きなので、この世界で『7 Days to Die』や『Fallout 4』のような拠点作りが出来たら最高だと思う。メインストーリーそっちのけで素材を集めてせっせと作りそう。まぁ拠点作りとはいかないまでも、何か強い要素が1つ欲しかったです。

タッチパッドを生かした操作

メニューを開くのにタッチパッドを生かしていて使いやすかった。タッチパッドを↑にスライドしたらストーリーメニュー、→にスライドしたら地図、↓にスライドしたらスキル、←にスライドしたら所持品。開きたいメニューを1発で開けるのは非常に良い。『ウィッチャー3』でも似たようなシステムを使用していましたね。こういう頻繁に使用する細かい点が快適になるのは嬉しいので、もっと浸透してほしいです。

フレームレートとバグ

Digital Foundryがフレームレートを調べています。


基本的には30fpsで、フリーカーの大群との戦闘でもほぼ30fpsを維持できているのは驚き。戦闘中よりも移動中にフレームレートの低下が見られ、バイクでの移動中に25fpsくらいまで落ちることがあります。実際にプレイしていても、戦闘中は気になりませんが、バイクで高速走行中はカクカクッとすることがありました。

バグは多め

プレイ中にバージョン1.04から1.05にアップデートされましたが、バグは多いです。困るのは地面をすり抜けて落ちるバグ。味方NPCが落ちて進行不能になったり、野盗のキャンプ襲撃で敵が倒せない場所に落ちたりした。他には効果音が消えたり、戦闘中なのに銃が構えられなくなったり、敵の巣を焼き払う場所で全て焼き払った後に再訪すると、まだ焼き払っていないようなセリフを喋ったりもした。まだまだ修正箇所は多そうです。

 

現状はバグが目立ちますが、バグの修正やバランス調整をすれば劇的に面白くなりそうな気がする。6月に大きなアップデートもあるみたいですし、今後の成長は期待できる。

粗さはあるけどめちゃくちゃハマった

他のオープンワールドゲームから素直に学んで取り入れている。それの組み上げ方の精度は粗くて小さな問題点は多いです。真似て導入してみたけど、そのシステムの本質がわかっていないというか。結果、悪かないけど良くもないという部分がある。バグが目立つのも問題です。
粗さはあるものの十分に楽しめる形になっており、特に後半は睡眠時間を削るほどハマった。ストーリーがグイグイ引っ張ってくれるし、ディーコンのスキルと武器も揃っていて、バイクも強化して使いやすくなっていて楽しい。ストーリーミッションのボリュームもたっぷり。
オープンワールドゲームにありがちな「同じようなことの繰り返し」感は個人的には全く問題なくて、むしろ違った何かを入れようとして、それがつまらない要素になる失敗をしないほうが良い。ミッションは似ていても、キャラクターの成長要素や収集とクラフトがあるし、後半は快適になって乗り回したいバイクもあるし、自分でアプローチに変化もつけられるし、何度遊んでも楽しい。『WORLD WAR Z』の感想でも「わかりやすい楽しさのあるゲームですが、メディア評価的にはウケが悪いかもしれない。もっと多彩な味付けが求められるかも」と書きましたが、『Days Gone』も減点法なら文句つけられる点が多いのでメディア評価的には伸びにくい。
ハマり具合は90点台級ですけど、実際に90点台の評価を受けるゲームほど洗練されていないので、控えめに後半は80点台と言っておきます。

 

トロフィー設定も良くて、プラチナトロフィーも獲得できました。攻略情報が必要なトロフィーはほとんどなく、トロフィーのための作業というものも感じない、ゲームをやり込んで行けば獲得できるトロフィーがほとんど。SIEのゲームはトロフィー設定が上手い印象。


SIEは販売元なので開発元はそれぞれ違うわけですが、『ゴッド・オブ・ウォー』と『スパイダーマン』という2018年のGOTY獲得数1位と3位を販売するほどのブランドでもあるので、ユーザーの期待値が高くなるのも仕方ない。GOTY級の洗練されたゲームを期待すると小骨の多さが気になってしまうかと思います。
Bend Studioは次作で開花しそうでもありますし、ストーリー的にもゲーム的にも続編が見たい。据置機でのAAA級1発目としては頑張ったBend Studio。ここから肉付けすれば優れた物になりそう。