沁みる青春ロードムービー『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』の感想


2020年2月20日に発売された『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』の感想。

戦闘がアクションになったペルソナ5-2

体験版の感想で「『ペルソナ5-2』で、戦闘部分がコマンドではなくアクションになったもの」と書きましたが、製品版も同じ印象。

難易度高めの戦闘

最初から最後まで難易度NORMALでプレイしましたが、歯応えのある難易度でした。アクションは『無双シリーズ』とは別物で、オープニングの無双っぽさは罠だと思えるほど。『キングダムハーツ』っぽさも感じる。

 

中ボスと大ボスは攻撃力が高く、2~4発喰らうと死ねる。敵の攻撃を見極めて、確実に回避を決める事が重要になる。
ダメージを受けたらOPTIONSで回復メニューを開いてアイテムで回復。回復画面では時間が停止して好きなだけ回復アイテムを使えるので、回復アイテムさえ大量に所有しておけばゴリ押しも可能。強敵もスキルでWEAKを突く→SP回復だけで勝てる。ゲームバランスとしては疑問なところですが、アクションが苦手な人の救済措置にはなっている。
ボスは硬いです。こまめにペルソナコマンドを開いてスキルを使ってWEAKを突くのは基本中の基本ですし、それだけだとSP不足に陥るので、□□□などで属性攻撃を出してWEAKを狙ったり、バトンタッチで効率良くゲージを溜めてショウタイムで削るのも重要。スキルでWEAKを狙うのはわかりやすいですが、□□□などで属性攻撃が出るのはチュートリアルをちゃんと読んでいないとわからないので、そこを理解していないとSP不足で手詰まりを感じちゃいそう。

 

ザコ戦ではカバー状態からのスニーキングアタックを決めるのが基本で、そのまま総攻撃に繋げて一気に片付ける。□□□で草刈りするよりも、どうやってスニーキングアタックを決めるか?どうやって総攻撃に繋げるか?のほうが重要。環境を利用した攻撃も強い。ボタン連打ゲーにならないような工夫が感じられる。
とは言えザコは弱いので慣れると単調になりがちですが、アクションバトルはキャラクターを動かす楽しさと爽快感があるので、ザコ戦は単調でも大きな問題は感じない。レベル上げや、仮面、アイテム、ジャンクのドロップもあり、避けたくなるようなものではないです。

 

やればやるほど『無双』シリーズのイメージからは離れていき、「ペルソナ無双」と言われていたのは何だったのかと思うほど。考えて戦う戦闘ですし、回避が上手く使えないとすぐ死ぬので、無双系の爽快感を求めると肩透かしになるとも思う。
L1長押し(銃撃モード)とR1長押し(ペルソナメニュー)で時間が停止するのは非常に親切。アクションとコマンドの融合的な部分も感じ、時間を停止させて考えながら動ける。

 

戦闘のナビゲーションも優れているポイント。スポーツゲームの実況解説みたいに的確に喋り、弱点を教えてくれたり、回復のアドバイスをしてくれたり、プレイヤーの行動を褒めてくれたりする。喋りによるワイワイした雰囲気も良いです。

 

難点として大ボスの硬さは気になりました。『ドラゴンクエスト ヒーローズ』を彷彿とさせるような、スキル連打で硬いだけの敵を延々と削る作業になりがち。オメガフォースはボス戦を作るのが上手くない印象。硬い敵を効率良く削る方法を見出すところに面白味はありますが、もう少しボス戦を面白くしてほしいところ。状態異常やバフデバフも意識して絡めれば面白味が出てくるかもしれないけど、スキル回復料理の大量生産とスキル連打が楽だったので、終盤はそれに頼りがちでした。ストーリーが面白いので、早く先に進めたかったのもある。
カメラもやや問題ありで、ザコ敵がワラワラいて大きな敵もいて派手なエフェクトもある中でカメラも含めた見難さの問題はあり、シンプルな無双系なら斬りまくれば良いですが、回避が重要となる本作では見難さの問題は小さくない。
ザコ戦は爽快なアクションで進めて、ボス戦はコマンドバトルでやりたいなと思うようなバランスでした。

 

終盤の硬い敵に単調さは感じつつも、アクションバトルは概ね良かったです。『無双』ではなく『ペルソナ5』をしっかり意識したアクション化なのがポイント。
ベースは良いですが、アクションからコマンドになった『龍が如く7』と同様に粗削りでもあり、バランス改善の余地は大きいと思います。硬い敵にスキル連打する作業はカッコ良くない。回復画面で時間を止めて回復し放題なのは便利ですが、これもゲームバランス的には良くないと思います。

時間に追われずじっくり遊べる

『ペルソナ5』は時間制限のあるカレンダーシステムで、期限までにパレスを攻略しないとゲームオーバーになりましたが、『P5S』では時間制限はありません。ジェイルをクリアしてストーリーを進行させない限りカレンダーは進まないので、ジェイル攻略途中で何度でも現実世界に戻れますし、レベル上げやリクエスト(サブクエスト)も時間を気にせず行えます。
アトリエシリーズでもそうですが、時間制限のあるシステムは賛否両論で、苦手な人は苦手。『P5S』は時間に追われずじっくり遊べるようになったので、遊びやすくなりました。

 

SPの回復だけは便利にしてほしかった。チェックポイントから現実世界に戻るとHPとSPが全快します。時間制限はありませんから回復のためだけにチェックポイントから帰還する事も多いのですが、チェックポイントから帰還→アジトへ→ジェイルへ→チェックポイントへワープで回復完了という手間がかかりすぎる。「ペルソナでWEAKを突く」というのがペルソナ5らしい戦闘の軸なのに、SPが不足して温存しなくちゃいけないのは噛み合っていない気がする。
根本的な事を言えば、スキル/SPは自動回復式のほうがアクションゲームに適していると思う。自動回復式ならスキルの使用に消極的にならないし、SP回復しながらのスキル連打バトルにもならない。

立体的なマップ

ジェイルは立体的なマップが多く、カメラをグリグリ動かして周囲を見てMOVEできるポイントを探す。酔いやすかったり方向音痴の人は少しツライと思います。

簡略化されたアドベンチャーパート

戦闘部分がコマンドからアクションになった『ペルソナ5-2』という印象ですが、アドベンチャーパートは簡略化されています。街中にいるキャラクターと会話してイベントが発生したり、アイテムを貰えることがあります。個人に対する好感度のようなものはありませんし、クイズ形式の選択肢もありません。

ロードは短い?長い?

PS4 Pro + SSDで、チェックポイントからのファストトラベルでプレイアブルになるまで5~6秒。個人的にはロードが短くて良いなと思っていましたが、Twitterの反応を見ると「ロードが長い」という感想もチラホラある。PS4 Pro + SSD以外の環境ではロードが長いのかと思う。
P5S ロード - Twitter Search

SHAREが使える

『龍が如く7』でSHAREが使えたのは驚きでしたが、P5SもSHAREが可能でした。しかし、エンディング以降はSHARE禁止になる。龍が如くだけじゃなくて、SEGAとして方針が変わったようですね。

オートセーブがない

今時のゲームでオートセーブがないのはやや面倒。エラーで落ちたりバグでハマったら水の泡。とは言え、クリアまでエラーは0回、バグらしきものも0回でした。

最高の青春ロードムービー

ストーリーは非常に良かった。夏休みにキャンピングカーをレンタルして怪盗団全員で全国を旅する青春ロードムービー。メリハリが効いており、まず旅先での若い男女の楽しいイベントと会話で旅の雰囲気を満喫できる。ご当地グルメ、温泉、浴衣、海……、旅を目一杯楽しんでいるキャラクターたちを見るのが楽しい。続編の強みもあり、前作でキャラクターが立っているし、愛着もあるから楽しく見られる。こんなにも楽しい旅ゲーは他にないかもしれない。

 

楽しいだけではなく、各地のジェイルでは王との出会いと戦いが待っている。眩しいくらいの青春とは対照的にシリアスな展開。今作の王は単なる悪党ではないのが良くて、トラウマがあり、それがキャラクターたちに深みのある会話を生んでいて、泣ける展開になっていました。悪を倒すのではなく「改心」がテーマにある。

 

旅部分はファンディスクのようにキャラクター達の魅力を十二分に見せ、ジェイルではシリアスな展開を見せる。このメリハリが非常に良かった。笑えて泣けて熱くなれる、終わらないでほしいと思える旅。スピンオフだから薄味だとか、ファンディスク的なキャラゲーで終わっているとかはなく、大作RPGのメインストーリーして素晴らしい出来。

 

ストーリー展開が面白いというより、キャラクターの魅力が強いかなと思う。ちょっとしたやりとりで「いいな」と思えたり、笑えたりホロッとする。これもキャラクターが立っている続編ならではで、前作から長い時間をかけて築いた友情関係の深みがあるからこそ伝わる。それと絡む新キャラクターも良くて、覚醒シーンは熱かった。もはや「我は汝、汝は我」というフレーズが、バイオショックの「恐縮だが」に近い効果があり、それを聞くだけで熱くたぎる。それまでの展開も完璧で、間違った選択もあって悩んで苦しみ、追い込まれてから覚醒する時の「我は汝、汝は我」の突き抜けた熱さ。ストーリーの中で泣けるとか笑えるとか熱いとか、いろいろな感情がありますが、こういう突き抜けた部分を持つ作品は素晴らしい。ゲームの感想をいろいろ書いていると、ストーリーに関しては「それなりの展開はあるけど、突き抜けた物がなく平坦に感じる」という感想も多い。P5Sはグサグサと刺さるところがありました。
夏休みの終わりに迎えるエンディングも最高の余韻を残した。本当に自分自身の体験と物語のように心に沁みた。特に「心の成長」を感じて涙が溢れました。いろんな泣かせパターンがある中で、この方向性で泣かせるのも凄い。心の成長で涙が溢れるというのは、まさに心が洗われる体験。

 

達成できるリクエスト(サブクエスト)を全て完了して本編クリアまで30時間ほどでした。『ペルソナ5』に比べれば短いですが、アドベンチャーパートの簡略化とアクションゲームなってテンポが良くなったのが大きな要因かと思う。内容の濃さは十分ですし、クリア後の余韻は最高でした。クリア後の追加リクエストもあり、ペルソナ収集やBANDコンプリートなど、やり込み要素もある。
このゲームが発表された時はペルソナIPの安っぽい無双化なのかとも思いましたが、心に残り続けるゲームになりました。最初から最後まで『ペルソナ5』の世界とキャラクターたちが「好き」で溢れた。

 

ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ - PS4

ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ - PS4

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: アトラス
  • 発売日: 2020/02/20
  • メディア: Video Game